生坂中学校における『学び合い』への取り組み


   『学び合い』の導入を図る際に一番難しいと思われたことは、『学び合い』の考え方を職員にどのように理解してもらえるかということだった。私が強引に指示すれば職員はそれに従うと思われたが、その際形だけをまねられたのでは意味がないと考えた。このことを最も恐れた。そこで全教員が2回に分けて、村のワゴン車をお借りし、県外の『学び合い』先進校を参観したり、信大教育学部の三崎隆先生に出前授業をお願いしたり、研修の講師を務めていただいたりの工夫もしてきた。
   平成19年度に、N教諭が社会科の全ての授業を、この考え方で実施した。また積極的に授業公開を実施してくれた。生徒の姿は随分変容し、『学び合い』の授業の良さが教職員の間で少しずつ認識されていった。そして、平成20年度の全校研究テーマは「お互いを高め合う授業の創造~『学び合い』活動を通して~」と設定され、社会科だけでなく、ほとんどの教科で『学び合い』の実践がスタートした。村の教育委員全員に、何回か『学び合い』の授業参観をしていただき、その有用性をご理解いただけるようになったことも大きな力となった。


     
平成21年度の実践


 平成21年度のグランドデザインを策定するにあたり、前年度のものをよりいっそう焦点化したものにしようと考えた。
    『学び合い』のパイロット役を果たしてくれたN教諭が転出したため、校内体制の再構築をはからねばならなかった。重点目標を「みんなが分かり合うことをあきらめない授業づくり」、全校研究テーマは「お互いの高まりを実感できる授業のあり方」とし、信大の三崎先生のご指導を仰ぎ、全職員、生徒一丸となっての取り組みがスタートした。その一環として、5月連休明けの9日(土)には、村のバスを出していただき、職員・生徒42名が信大教育学部の図書館2階のホールで、1年は理科、2年は国語、3年は社会科の3つの授業を同時公開できた。もちろん『学び合い』の考え方に基づいた授業をである。
    8月末には、夏休み中の神奈川県を中心とした県外の先生方をお招きしての授業公開、授業検討会をしたり、11月には国語の全校研究授業で、同じ職員が2クラス公開したりした。
   2学期末からは、本校職員が小学校へ出向いての授業を行っている。既に5年生の体育、4年生の理科、図工、6年生の英語などが行われたり、計画されたりしている。3学期もこの流れが続くものと思われる。私も6年生の社会科の授業を11時間『学び合い』の考え方で行わせていただいた。また、この中の一時間を使って、中学生が学習発表することも織り込むことができた。
  各地で小中連携授業を実施したことが報告されているが、1時間や2時間ではなく、単元を通して行っていることが私たちが取り組んでいる大きな特徴だと考えている。単なるイベントにしてはならないという思いもある。中学校教員にとっても、小中連絡会などの情報だけでは得られない貴重な情報収集の場でもある。